代表的な症例~H.Kさん

基本データ

H.Kさん
年齢・性別 20代女性
主な症状
‐重度の生理痛
‐顔面紅斑(頬にできる赤い発疹)に悩んでいる

治療の概要

・初診時の所見
過去に上下4番目の歯(計4本)を抜歯し、矯正治療した履歴があります。一見すると歯列や硬組織には問題が無いように見えます。ご本人は噛み合わせに違和感を感じていたものの、「そんなもの」と思っていたようです。そこで、OBCで重心咬合をとってみると、奥歯だけでかみ合っていることが判明。前方はまったく歯が接触しておらず、そのため下あごが前後方向に動く際に不安定となっており、さまざまな変調をきたしていたようです。

・治療の概略
OBCにより安定する顎の位置(重心咬合位)を定め、その位置になるように取り外し式の重心プレートを製作し装着していただきました。これにより下あごの位置を安定させた後、次に硬質プラスチックでできた固定式(接着性)の重心プレートを装着。さらに、接触していないためできる上下前歯の隙間をコンポジットレジン(充填式プラスチック)で埋め、下あごが前後方向に動く際の安定を図りました。ご本人の「自分の歯で噛みたい」というご希望や、年齢もまだ若く、歯も健全であることから、このような処置をすることで、歯を削らないことを重視して治療しました。

・治療後の所感
ご本人のお言葉ですが「人生が変わった」とのこと。実は、この患者様は子宮頸ガンを克服した経緯がありました。それでも生理不順・生理痛がひどく、鎮痛剤を常用しており、精神的にもうつ状態が続いていました。そのため、第二子を望んでおられたものの、ほぼあきらめていたそうです。しかし、噛み合わせ治療後は、体のバランスがとれたことにより状態が改善。免疫力もあがり、ホルモンバランスとれたことで、第二子を妊娠し、無事出産しました。また、顔の赤味もきれいになくなりました。

治療前後の変化

口腔内写真

治療前
治療前
歯を上下2本ずつ抜いて矯正しています。これが原因で体調不良になっていました。写真で見る限りではとても綺麗になっています。前からはもちろん、横から見ても綺麗にみえます。しかし、OBCで調べてみると、奥歯しかかみ合っていないことが判明。
「顔が曲がっている」「右の脇から腰にかけての痛み」「風呂上りの立ちくらみ」「偏頭痛」「生理痛」などの悩みがありましたが、これらがすべて噛み合わせによるものだという認識はほとんどなかったそうです。
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治療後
治療後
OBCを用いて噛み合わせの位置を確認しながら治療しました。 少し分かりにくいのですが、噛み合わせが高くなっているのがわかるでしょうか?私を含め、歯科医師自身がこの位置を決めるのはとても難しいことです。しかしOBCを用いて、患者さんが感じるもっとも楽な位置を見つけてあげれば、自然と位置が決まります。改めて人間の体はすごいなと感じます。

全身写真

治療前
治療前
肩や体のラインが極端に乱れているわけではありませんが、やや猫背なのがきになります。そこでさらに、ヒップレストテストという検査法でチェックすると、体の重心が乱れていて、ふらふらして足がスムーズに上げられないことが分かりました。
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治療後
治療後
横から見ると、かなり猫背が改善されています。左右の肩の位置も均等に。ヒップレストテストでも、足が軽くなってスムーズに上げられるようになりました。これらはすべて、重心が体の真ん中にしっかり入ったからです。目もしっかり開くようになり、視界がひらけたそうです。顎の位置を適切にすることで、こうした全身の改善がみられるようになります。

T-scan(噛み合い方)

治療前
治療前
筋肉は100%の力を発揮しています。しかし、その力が2秒ほどしか持続しないため、硬い食べ物は時間をかけて噛むことが難しくなります。おそらく、あきらめて飲み込んでしまっているものと思われます。
また、はじめに右側の奥歯から噛んで、続いて左奥歯がかみ合っており、均一になっていないため不安定な状態です。つまり、筋肉は正常ですが、上下の顎のバランスが取れていないことがわかります。
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治療後
治療後
左右の奥歯のバランスがとれて、左右共に力をいれてしっかり噛めるようになりました。最初は右よりだった咬合力も、時間と共に真ん中に移動してきています。

治療後の感想(院長より)

一般的な矯正治療は、体がもとめる安定した顎の位置になるとは限りません。かえって矯正治療をしたことで顎の位置が不安定になり、不定愁訴で悩まされることもすくなくありません。これを避けるためには、あらかじめ小学校に入学するころに顎を広くしておいて、大きな歯が生えてきても余裕のある状態にしておくことが大切です。このように、後に歯を抜くことにならないように、子供の時から注意深く見守っていく必要性を痛感した症例でした。
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